『スクール・オブ・ロック』

いわゆる絶賛公開中の素敵映画。
何やってもダメ、ダメったらダメったらダメの子だった主人公が、ルームメイトの名前を騙って私立の進学校の代理教師をして日銭を稼ぐところから物語は始まります。
で、死んだ鯖みたいな目をした子どもたちをロックに啓蒙していくのである…とかあらすじを書いてみるとなんか違う。

うまく言葉にできないところがこの映画のいいところであります。まーともあれ、カンフー映画の醍醐味を文字で伝えきれないみたいに、音楽映画の醍醐味も文字では伝えきれません。とにかくジャック・ブラックの動きと喋りとスキャットと眉毛が面白すぎるので、それに魅了されっぱなし。

一番印象に残ったシーンは校長先生と主人公の車の中での会話。
さんざ激昂したあげく「もう帰るわ」とか、そういう流れになったところが素敵でした。あそこで「今日は帰りたくないの」とかそういう流れにならないところが本当に素敵。

あと、地味に「皆がお前を好きになる」の場面でもほろっと来てました。
映画を一緒に観た職業教員の人に聞くと、「こんな俺でも大丈夫なんだから、お前ならやれるさ」という励ましは世の先生の中にも言う人が多いのだそうです。言われてみると僕も聞いたことある。
でも子どもの目から見るとやっぱり先生っていつだってそれなりには立派な人で、立派な人が「こんなダメな俺だって」とか言ってるのを聞いちゃうと、逆に落ち込んだりしちゃうこともあるのよね。先生がダメならあたしどうなんのよ、みたいな。
話題逸れた。
でもジャック・ブラックの台詞は素直に心に染みました。ほろっとした。励ます側と励まされる側と、どちらの気持ちも判った。
愛だと思った。

あと特筆すべきはスタッフロール後のオマケシーン。圧巻のワンカット。幸福な長回しです。見るしか。