ボクは小さい(第一回)

三十分だけ遊んでみての感想。

キャラゲー*1に対して、「シチュエーションゲー」*2というジャンルがあるように思いました。
『ボクは小さい』は明らかなるシチュエーションゲーです。

昨日、女子供ゲーについて少し触れたけれど、キャラゲーは女子供ゲーの要素よりオタゲーに近くて、シチュエーションゲーはどちらかと言うと女子供ゲーに近いような、そんな感覚です。

シチュエーションゲーにおいてはその名のとおり状況こそが重要視されるために、割と主人公のキャラがぞんざいというか、なんというか。
具体的にいうと主人公が「いやいや冒険してる」のか、「ものすごい楽しんで冒険してる」のか、どうとでも取れるような描写というか、作者が一通りの受け取り方を強要してない感じ。『ボクは小さい』のポムくんなんかは、ネーミングからしてそういう感じです。造型も何考えてるのかよく判らない無表情で、一番近い感じで言うと「銀河鉄道999」の車掌さんみたいな感じ。
ザ・ゾンザイ。
でも逆にそういうのがいわゆる女子供にウケる理由ではなかろうかとか考えてます。ゲームの世界に没入するというよりは、一歩引いて、単純にモニタの向こうの世界のことを楽しむようなスタンスで遊べるゲーム。確かに素敵。

まあともかく特定の状況でだけ成立する物語と、ゲーム内容のワンアンドオンリー加減は確かに魅力かと思います。キャラとか設定とか謎とかイベントとか、一回のプレイで使い切れる感じで。

というのを踏まえると「ボクは小さい」なかなかの名作の予感。

*1:キャラゲー」とはまさにキャラクターありきのゲームのことで、往々にして主人公などキャラクター造型がまずあって、そしてそのキャラクターが活躍できるように世界を構成してゆく作法で作られていることが多い。ゆえに、よほど丁寧に物語を展開しないと「ご都合主義じゃんけー」と罵られてしまう。

*2:「シチュエーションゲー」というのは特殊な世界観や物語をまず作成し、それに合わせた形でキャラクターを造型してゆく作法のゲームであることが多い。このため、主人公の影が薄いことが多く、主人公がモニタの向こうの世界のインターフェースとしてだけの役割を背負いやすい。「向こうの世界に生きている人」的な主人公ではなく、「向こうの世界における自分の手足」的な位置におかれやすい。ゆえに、逆に言えば、物語の自由度が低かったり、プレイヤーに合わなかったりするとゲームはいきなり作業になりがちである。