夜に。

「あなたにとって音楽は、いつも飲む薬みたいな物で、それがないとすぐにへばってしまうんじゃないかと思うんです」
「確かに音楽は必要だけど」
「だから、定期的に音楽を摂取することがあなたには必要だと、わたしは思うのです」
「でも、音楽を聴くのは、必要だから聴くんじゃなくて、好きだから聴きたいんだよ。余裕がないときには、だから、聴けないんだよ」
「でも、聴かないと気持ちが倒れちゃうんでしょう?」
「それは、そうだけど、人と付き合うのも同じで、それが必要だから付き合ってるのかもしれないけれど、そう思いたくないの。好きだから付き合ってるって思いたいの。だから、一度気持ちのバランスが崩れてしまうと、どうすればいいのか分からないけど、そう思って生きていたいの」

案外人間らしく生きるというのはそういうことなのかもしれないと少しだけ思った夜。