お好きにやんなさあい

お好きにやんなさいお好きにやんなさい。
僕はあなたがたが、ライ麦畑から落ちないように見守っていたいと思っていたけれど、ライ麦畑から落ちるリスクよりも踊る自由を大事だって思うんならもう、僕の働き口はそこにはないんだ。

だからもう、お好きにやんなさい。ご勝手になさい。
僕にはまだ、あなたがたが転んで見えなくなってゆくのを悲しく思う心が残っているけれど、でも、あなたがたに小言を言って憎まれる方が辛くなってしまったんだ。

案外、崖の下こそが楽園なのかも知れない。そう思うことにしたんだ。
僕はこれから、ライ麦畑から落ちないように見守る人ではなく、ライ麦畑から落ちるのを見守る人になるんだ。
さようならさようなら。
最後のその時に、きちんと忘れないでお別れを言えるように、僕は眺めているんだ。

どこか、遠くから。
そう。どこか、あなたがたからずっと遠いところからなんだ。