戻れない二人

今年の3月11日が日曜日。
ということを昨日知って、なんとなく座りの悪い気持ちになりました。

どこかに出かけるべきか、それとも家にいるべきか。
去年のその日、僕は今と違う家に住んでいて、今とは違う仕事をしていました。
地震が変えたというわけではないけれども僕の生活は大きく変わり、地震のせいではないけれども家族が亡くなった一年でした。
つまり、僕にとってはいつもと同じ、変容する一年でした。

しかし勿論、世間には地震によって変えられてしまった人たちも大勢いて、彼らと同じように、その日を忘れられないとも思うのです。

うちの人に少し話したところ、その日は家に一緒にいたい、というようなことを言われました。
幸いなことに、僕ら夫婦には僕らだけでは抱えきれない悲しみや切なさがありません。実家も、友人も、知っている限り皆生きています。とりあえずのところ、命だけは残っています。

鎮魂を人に任せるというわけではないのですが、今週の日曜日は静かに、家で過ごそうかと思います。そして幾つかのことや、人を、思い出しながらお茶でものもうかと思います。

僕らは皆それぞれに取り返しのつかない日々を送っており、好むと好まないとに関わらず、去年の生活に戻ることはもう、決してないのです。
ぼくらはいつも、戻れない二人。生きてゆくしかないし、生きてゆくのです。
昔を懐かしむのを止めるべきとは思いませんが、それによって「今」を否定するのは、健全ではない気がするんだけど。
だけどそれぞれの人生。好きにやるがいいさ。