『PS羅生門』(矢島正雄+中山昌亮/ビッグコミックス、小学館)

やー、久々にレビューらしいことをしてみようかと思っているんですが、それというのも、この漫画、なかなかめっかんないせいなのです。そう。なかなか本屋においてないんです。なぜだ。
まあ、なぜかって言ったらたぶんマイナーなせいだと思うんですが、言ったってビッグコミックオリジナル連載作品だし、知ってる人多いと思うんだけど、うーん。
ともあれ内容をざっと紹介すると、警察官だった夫を三年前に亡くした紅谷刑事(子供アリ)が赴任した先の、通称羅生門こと東都警察署で出会う事件だとかその他のものだとかについて、一話完結で綴られてゆく物語。
こういう紹介の仕方をすると「あ、なるほど、ありがちな女刑事の成長を絡めた警察モノね」なんつって思われちゃうかもしれないっていうか、うーん、実際、そういう風に言われちゃうとどう反論していいのか判らないんだけど、とりあえず、一巻だけでも買って読んでから判断してみていただきたい。せめて弓坂刑事の話と、サトシくんの話を読んでから判断してみていただきたい。
「勧善懲悪、世の中に悪人なんていないんだね」って結論じゃないし、「一体本当は誰が悪いのか分からない」って後味の悪さじゃなくて、ただ、一生懸命生きてる人や、生きていた人を、描いている作品だと思います。ほぼどの話も、すごく胸に迫る。

ちなみにこの漫画、ヲベロン内で、実写化して欲しくないナンバーワンに踊り出ている漫画であります。なんというか、話ももちろんなのだけれど、絵に惚れたと言ってもいい。登場人物の表情が、なんというかいちいちすごく人間らしいんです。間のとり方や、表情の変化、などなどこれは、なんというか、漫画にしかできない、すごいことなんじゃないだろうか。とか思っております。

興味が湧いたらぜひ一読を。ただいま第六巻がちょうど発売された時期であります。一冊505円外税。