っちゅわけで、先日の「リボンをした犬を連れた女の子に会いました」という文のリボンをしているのは誰だかはっきりさせる、という問題について。
とりあえずはコメント多謝でございます。やっぱり乗ってくれる人がいるとうれしいものですね。

まあ、結論から申し上げますと、正解は
一匹のリボンをした犬を連れた女の子に会いました」
なんですね。ウフフ。
どう。どう。ちょっと鮮やかくない?

この原因を説明すると、C統御とかそういう話になってきたと思うんだけど、簡単に言うとアレです。
「リボンをした/犬を連れた女の子に会いました」
「リボンをした犬を/連れた女の子に会いました」
の二つの文になりうる裂け目が発生してしまうので「リボンをした」の前に「女の子」にはかからず、「犬」にだけかかる形容詞を追加して「犬」とその形容詞の間に「リボンをした」を挟み込み、並列に犬を形容する語にしてしまう、というわけです。(簡単に言ったせいでよけい分かりづらい罠)
で、この場合の問題は例えば
かわいいリボンをした犬を連れた女の子に会いました」
などの、一般的な形容詞では、それがリボンにかかるのか犬にかかるのか女の子にかかるのか、判断がつきづらいということであります。
そこで便利な数量詞が登場。日本語の場合、人と物と動物といろいろと、対象によって単位が違うからやりやすいのですね。
で、結果「リボンをした」を「一匹の/犬」の追加形容詞として挟み込んで、文意が成り立つという次第です。
これの重要な点は「挟み込まないとダメ」ということで、例えば
「リボンをした一匹の犬を連れた女の子に会いました」
では元の木阿弥なのですね。
で、こういう取っ掛かりから樹形図を描いてどうの、ってやってくと言語学って結構面白いはずなんだけど、今ひとつマイナーな学問であります。最大にして最多の論文を書いたチョムスキーがまだ存命、という点でも面白い学問だと思うんだけど、いかんせんマイナーです。ちぇ。

ちなみに、この文、文意が「女の子がリボンをしている」という意味にしようとすると簡単で、
「リボンをし犬を連れた女の子に会いました」
もしくは
「犬を連れたリボンをした女の子に会いました」
にするだけです。これも理屈は前述のものと大体同じ。