『3年B組金八先生』

なんだか日記の日付がおかしくなっていますが、正確には15日、オンエアーの直後から書いております。ヲベロンですこんにちは。

ちゅーか、こう、金八ですよ。僕の心に絶え間ない生傷をつけてくれる平成金八先生ですよ。周りの人から「それなら見なきゃいいじゃんよ」と言われても見ちゃうんですね。こう、このドラマ見たら見た人同士でぱあっと連携のとれた金八ごっこが出来るかもしれないとか思うと、つい見てしまうんです。(ちなみに前シリーズ見てたころのマイブームは最終回間際ごっこ。誰かが話している時に、話の腰を折りつつ「やだ!オレもっと金八っつあんに叱られたいよ!」と絶叫、のち周りから「ダメ!チュー!」「チュー!聞き分けなさいよ!」と叱りつけられるのが大流行しました*1

というわけで今回も満を持して迎えた本放送。仕事で遅くなってしまったので最初の三十分くらい見逃したんですが、いきなり子どもが母親らしき人からボコスカに殴られてました。サッカーボールキック食らってた。うおお。思わず漏れる声。
そう来たか。
いやあ、以前から今シリーズは「麻薬問題を扱う」って聞いていて、そこからネット通販で買えるドラッグとかそういうほうに話を広げて、さらに一歩進んで今回のテーマは情報社会じゃないかと推理してたんです僕。
インターネットはメディアリテラシーだ!と人差し指をびゅんびゅん振り回してナベツネの真似をしている小山内先生の姿を想像しておりましたが、そうですか。麻薬ともう一つの柱はDVですか。

と、ぐんにょりしたような口調で言っておりますが、僕的には割と楽しんで視聴したような気がします。前のシリーズよりも幾分順調な滑り出しなんじゃないでしょうか。ねじり鉢巻の子などは、非常に達者な演技だと思います。大人がイラッとしそうなツボを心得てる。しかもすごい自然。あー!いそういそう!こういう子!とか思わせるところが小憎らしいですね。

あと、さっそく「○○系ー?」が口について離れなくなった。DVの子の家で盛んにアップになる例の木目の扉。あれが写るたびに「『天まで届け』に出てたおにいちゃんがいる系ー?」などと放言して家族からいやな目で見られる罠。反省した様子も見せず「フゴ、フゴッゴッゴとか言いながら夜道をランニングしてるおにいちゃんがいる系ー?」と続けていやな目で見られる罠。なんだかんだいって満喫してるわたくし。

でもって、真面目な話、物語としての今後の展開は、やはりハチマキの子に注目です。いくらウザキャラだといっても登場して五分後に、いきなり出席簿で頭を殴られるという不遇。あからさまに金八が示す生理的嫌悪(鼻ぴくぴくしてた)。今まで、無条件にすべての生徒を受け入れ、愛してきたはずの金八先生が初めて「出てけ!」とマジ怒鳴りしたのがなんとなく暗雲の予感なのであります。
この逆ひいき(いわゆる目の敵)は果たしてどこかで止まるのか。どこかでちゃんと分かり合うのか。それとも小山内先生はあの子をただのウザキャラで、金八との反目(手を上げても指してあげないとか)を遠藤先生への拒絶のような「軽い息抜きギャグ」扱いにしてしまうのか。ちょっと注目です。
これで、この先金八の彼への仕打ちがエスカレート(態度を改めるまで徹底的に無視するとか、ことあるごとに出席簿ではたくとか)して、彼が追い詰められてゆくというような展開になると、かなり迫力のあるドラマになる気がします。

一番怖いのは、麻薬に手を出してしまう人間のモロさなどではなく、善意や正義感や無知からくる無理解だと思うんです。それらの深い裂け目が、金八先生という「よき教師」さえ飲み込んでしまうというのは、非常にリアリティがあるというか、それらの恐怖の根源はまさにそのところにあると思うのです。僕たちの傍らに潜む攻撃性。誰も避けて通れないし、自分が首まで漬かっていることに気付かないのが本当の恐怖だと思うのです。

障害者やユニークフェイスの問題を扱うならばその手の「無理解」の恐ろしさを避けては通れないと思います。
「障害があっても頑張っている人はすごい!」といった風に、24時間TVを見て素直に感動していた人たちが、「障害があって、頑張ってない人はダメなの?」という問いに答えられなくなってしまうような、賛美すべきベクトルを一方向へ定めてしまうような恐ろしさについて、僕は考えなければならない気がするんです。

そんなわけで今回、金八先生の見せたかすかな変容は見逃せない予兆であるべきのように思うのだけれど。

*1:脳内で。