また絵の話。

先日から引き続き絵の話。文章と絵の違いについて。
今までも割と考えていたこの問題。「これはわざわざ小説にしたりせず、漫画にしたほうがいいのじゃないか」と思うことはあるのに、その逆がないという経験則。
なんでこのことを考えるかというと、以前から合作しましょうぜひコラボしましょうと話していたあきうせいさんとの案件がここ数日、急遽進展しているのであります。
漫画原作というか原案というか。まあそのようなものを僕はやらせて頂いとるのですが、出来上がって来たネームを見て仰天なわけなのです。
いつにもまして淡々と、簡素に書いたものが、ネームに起こされてみるとかなりの分量、情報量になってるんです。
ここでヲベロンはたと気付きました。これは、「文章が内包していた情報が、目に見える形で引き出された」というより、絵かきの人が普段脳内で処理している映像情報が多いということなんじゃないかと。
まーつまりひらたく言うと、書きながら僕が想像していた情景よりもはるかにかっちりとした風景を、ネームの段階で見せられた感じなんです。つまり、文章が「行間」というもやもやしたもので表しているものをずばり具象化するっていうんでしょうか。

勿論、出来上がったネームについてそのまんまゴーという訳ではなく、昨日も幾つか意見を出し合ったりしたんですが、それにしても絵というものの間違いのないこと!
この完璧なまでの間違いようのなさは、本当に感動的です。無駄に作者の恣意を付加せず、ただシンプルな、そこに提示されて、それ以上でも以下でもない風景。小説では表現しえないものです。
ああ。あああ。
ま、興奮をおいといて、漫画と小説の話。今挙げたように、漫画は意味を付加しない、無音の、ただあるだけの、存在美とも言える風景を内包することに優れていると思うんですが、対して小説はどうか。小説にしかないものは何か。そう考えると難しいんですねえ。
これは僕がまだ漫画の世界に足を踏み入れてまだ少し、というせいもありそうですがともかく。ひとつの分野から別の分野のものを眺めるということの面白さって、時折大事だなあ、と思います。
まーいまさらですが漫画とか小説って面白いですね!垣根を越えてみて初めて見えるもの!なにかをすることはすばらしい!

それにしても、もしや、漫画を描くひとの脳は日ごろ、僕らの想像もつかない速度で回転しているんじゃなかろうか。原案送って次の日にはネームが16枚できてるて。
やはり神か!