真夜中の弥次さん喜多さん

リアルタイム更新も終えての夜九時。真夜中の弥次さん喜多さんのキーワードで飛んできてくれる方がとても多いので申し訳なくなって更新します。
感想。なんか久しぶりだなあ。映画みたの。
ともあれ、まずもって最初に思うのは、実に小奇麗な感じ、ということでしょうか。ホモだ薬中だ竹内力だ、と、さまざまなものが乱れ飛ぶ割には、画面は整然として、見やすく、すっきりしてシンプル。かといってそれがテレビ的というわけでもないのですが、うん、見終わってみるとまったくもってそれが「虚構」であることを見始めた瞬間から強く意識するものとなっておりました。「虚構」というのは「嘘っぱち」と同義ではありませんで、その、なんといいますか、かっこよい言い方をすれば、これはだれそれが作った世界ですよ、ということを小石のひとつひとつまでが主張している世界というか、なんというか。空気までが染め上げられている世界だと思ってください。虚構。しりあがり寿のまんが世界は、「わら半紙」みたいな空気(いい意味で!)をすごく感じるのだけれど、こちらはこちらで、がらっと違う感じに仕立てられていました。
話の筋を説明するのがこの映画についての感想として上策だとは思えませんので割愛しますが、ディテールに遊び心がつまっていた映画でした。手を噛まれたシーンでの、さりげないムツゴロウネタがツボにハマってたいへん苦しい思いをさせられました。死ぬかと思った。
僕なども学生時代に自主映画などを作っていたのですが、その頃の「よい学生映画」のテイストをさらに強化して、役者もよい役者をそろえて、と、つまり、自主映画などをやっていた人ならば絶対大好きになるに違いない感じの映画でした。言葉を変えればつまり、傑作。
ただ逆に言うと、他の人が一体何を求めてこの映画を観に来たのかについて、今ひとつ想像がつかないような気もします。監督目当てか?長瀬くん目当てか?板尾目当てか?(ちなみに僕は、もっともスゴかったのは他でもない小池栄子だと思います)ともあれ、「感動したい」とか「考えさせられたい」とか「笑いたい」とか「頭カラッポにしたい」とか、そういう単一のステレオタイプな欲求を満たす映画ではありませんでした。もっと別の、うまく言葉にできないし予想もしていなかった何かが心中にて、ボキャッ、と音を立てて屹立するような…といっても判りませんね。要は、すごく面白かったんだけどどこが面白かったのか、うまく言葉にできないってことです。アハ。ごめんなさい。ひどく刹那的なものだった気がします。花火みたいな感じ。
まーでも、特にすごかったのは後半部分。
王の宿のあたりから始まった、いつ、どのシーンでラストだって言われても納得するような怒涛の畳掛け。そして不健康ランド以降のシーンでの「今はじめてテレビつけた人はすごい顔するだろうな…」というすごい絵面。
んまー、その、見に行って損はないですよ。

あと、耳につきます。ヒゲのおいらん。おーいおいおい花魁だー。しばらく鼻歌決定。