忍道 戒 IMASHIME

とりあえずすっごい面白いんですけども。どうしよう。久々の激賞ゲーです。
ゲーム的には見も蓋もない言い方をすれば「マルチシナリオになった天誅」って感じでしょうか。僕などは天誅紅におおハマりした子なんでありますが、それを抜きにしても、こりゃこりゃ、忍道面白いですよ。

またもや例によってくらい遊びをしつづけてます。
今回は、爆弾たくさん転がしたなかに惜しまず地雷混ぜてみるとか、目の前に死体投げ込んで慌ててるところを遠くからにやにやしながら眺める(これは前回と同じだ)、とかモロモロ。
まことに暗いあそびですが本当におもしろーい!

と。
もちろん暗い部分だけではなくて、ゲームとしての要素もなかなかに考えられていてナイスです。作中には三勢力があって、各勢力、どれに加担するかで勢力地図が変わっていくという趣向。別に一勢力だけにキメうちしなきゃだめというわけではなくて、ミッションごとにどこからの依頼を受けるか決められる浮気歓迎システム。最終的にはどこかひとつの勢力だけになればそれでいいのかな。今ひとつまだ見えてこないんですがともあれ。
で、みっつはそれぞれ敵対する勢力ですから、敵方に加勢したということがバレると具合が悪いわけです。高感度が大幅ダウン。でも任務中に誰からも見つからなければ別に具合悪いこともないんです。「下手人は謎の者」。まさに闇に隠れて生きる。かっちょええ。
さらに、もし目撃されても、目撃した相手を殺害してしまえばやっぱり「下手人は謎の者」で終わるわけです。まさに闇に隠れて生きる。畜生働きです。浮気はバレなきゃ浮気じゃない。うっわ。うわー。
だが、そこがいい。
任務も「泥棒」「誘拐」「護衛」「探索」「暗殺」「熊退治」などなど盛り沢山。個人的には暗殺がいまひとつ暗殺じゃなくて「砦皆殺し」の方がやりやすいってところに違和感なんですけどもともあれ多彩で飽きないです。あと忍者ゲームのルールとなってきた「熊最強説」をきちんと受け継いでいるあたりも卒ないなあ、とかとか。
やりこみマニア向けの「マップで拾えるイモリとか煮込んで自分で薬を作る」とかもなかなかやり込めそうで楽しいし。
一本を長く長く楽しむために作られた感じのする一本です。ほんと面白い。たぶんこれ、何周かします。何周か遊んでもいいな、って思う感じ。

惜しい点を上げるとすると二点。
まず一個目はエルード、つまりぶら下がりがちょっとやりづらいことかしら。特に、届くか届かないかギリギリのところへの鉤爪を使った登攀は、勢い余って乗り越えたりしちゃうので、うまく感覚がつかめないとイラっと来ます。勢い余って敵忍者に見つかったときとか、かなり切ない。
なんというか、全体的に慣性での運動が激しい気がします。ダッシュジャンプとかもう気持ちいいくらいに伸びる忍び跳びだし、件の鉤爪の件も、はやく移動したい時にはものすごい気持ちいい登攀。ま、これは好き好きだし慣れで克服できる部分があると思います。
で、もう一個。
これはもう、そういう仕様だと思うしかないんですが、「血祀殺法」、天誅でいうところの忍殺、背後から忍び寄って一撃で首とかコキッとやって殺害するアレ。アレの演出のあとの立ち位置が時々勝手に移動するんですね。演出上だけでなく、ちゃんと実際にゲーム内でもキャラクターが動いてるんです。演出自体はどれもすっごい面白いんですが。特に水辺での血祀殺法はすごい。友達呼んで見せたいくらいすごい。あんまりアレでゲーム的にどうかと思う。
で、話戻って演出の話。井戸のそばで血祀殺法決めると、ごくたまーに、演出のために体回りこませて井戸に落ちて自分が死にます。これだけは時折納得いかない。

ともあれ今のところ、納得行かないのは井戸落ちだけです。鉤爪これは久々に良作なんじゃないでしょうか。いやいやマジで。キャラクターも記憶喪失キャラにしてはそれほど鬱陶しくないし。主人公が喋らなかったころのFFみたい。セシルとか。

あと、特筆すべきは昨今のゲームにはなかなかない要素で、ムービーが面白いんです。
大仰な動きとか仕掛けとかじゃなくて、なんとはなしの台詞回しとか、間とか、そういうのが面白いという貴重ゲー。ストーリーも「やらされてる感」がかなり薄いですしね。
あとは作中に出てくる贈答用オマケアイテムが面白いです。ツボった。「牛車男」という巻物があって、何かっていうと「牛車で女性を助けた男が恋に落ちて…」という内容なのだそうです。三条川原の立て看板を介して広がるラブストーリーだ。
というわけで今僕が一番興味を持っているのは牛車男です。ゲーム内では中身読めないけどかなりメロってる。メロメロってる。

11月10日に発売されたんですが、これ今年の拾い物ですよ。迷ってる人はぜひ。
ちなみに公式サイトはこちら。
http://www.shinobido.com/