ああファレナ女王国。の巻

お分かりでしょうがモンスターヒット(予定)。幻想水滸伝5です。依然病床にありながらの雑感です。
まずは誉めます。話から。ストーリーですが良質です。よくツボを知ってます。まずは騙されたと思ってしばらくお使いものミッションをこなしていただきたいところ。具体的には二度目の戦争まで。もっともここまで遊んでる人はもうどっぷり漬かってる人だとは思いますが、ここからの開放感、丁寧なシナリオの進行は圧巻。ああ冒険譚、ちゅかんじ。もっともわたくし現状まだクリアなんて先の先の気配なんですがともかく。話運びが丁寧で、かつ冷静に考えてみれば一本道シナリオだと思うんだけど、やらされてる感がまったくしないんです。こりゃすごいことです。まさに期待を裏切らずに予想を裏切るよい例です。仲間集めが物語のかなり素晴らしいアクセントになっております。*1
次にはやはりキャラクター。なんだかんだ言ってやはり悪くないです。108人いるから、というわけではなく、ちゃんと脇役が脇役してる感じ。いきいきしてると言ってもいい。でも男子キャラはビジュアル面での差異がつけづらいのか、一部とんでもないアタマになってます。具体的に言うとボズ。ボズって名前なのにモヒカン。よく3D化した喃。
でもなにより特筆すべきは妹担当のリムスレーア王女の登場シーン。一瞬つよい目眩がしますが、逆に言えば真剣にあの第一声をスタッフがぶつけてきた時点で既に勝敗は決した感があります。敵は本気だった!という感じ。たとえて言うなら演劇の、幕が開いての第一声。さあここから物語ですよ、と告げるラッパの音。まーつまり、妹マニアは撃墜。そうでない人も、生理的な嫌悪感さえなければインパクト絶大。何よりすばらしいのは、その第一声から先、リム王女はどんどん真っ当な威厳ある人間へ、むしろ萌え妹キャラから逸脱してゆくという展開です。
と、いうか「兄上ぇー、あにうえ、あにうえ、あにうえあにうえ、あにうえー」という台詞をフルボイスで喋らせたスタッフは一体何と戦っていたのか。

で、ここから惜しいところ。
戦闘からマップへ復帰するたびにロードってのは確かにちょっとだれる気がしますね。ちょっとロード多い。
その代わりかどうか、レベル自体はかなり簡単に上がるようになっております。仲間にしたばかりの低レベルキャラが、凄いときにはボス戦に一度出しただけで主人公と同レベルに!ま、これをうれしい処置ととるかどうかは人それぞれ。
レベル関連で言うと仲間になりたての人は一律武器レベルが最低、というのも評価わかれるかしら。
ようするに金欠が敵です。

次は戦争。リアルタイム進行のため、特殊能力を使うタイミングが難しいです。特に衝突が二カ所で起きると鎮火不可能。交戦が始まると部隊にズームされてカーソルも持ってかれちゃうので、乱戦になると実質操作不能。乱戦で指揮は効かないちゅことでリアリティを追求、なのかな。圧勝とか完勝とかを目指す人にはイラいかも知れません。
でもまあ、見てるだけで楽しいですよ。おー、となる感じ。1の戦争を彷彿とさせるような。うん。

…て、割と気になるところが文字にすると大変気になる感じなんですが、補ってあまりある魅力。やはり物語とキャラクターでしょうか。
腰を据えて思い通りに寄り道に邁進したいならディスガイア2、腰を据えて物語を享受したいなら幻想水滸伝5。って感じじゃありませんかしらん。
とりあえず堪能中。最終的な評価はクリア後にまた書きます。

*1:付随してちょっと思うのだけど、よく大作と呼ばれるゲームで見られる「やらされてる感」ちゅやつがあるじゃないですか。物語にいくつか存在する山場を山場たらしめるのは、小さな達成感というものだと思うのですね。オーケストラで言えば一旦音を閉め、一瞬でもいいから静寂を作り出すのが必要だと思うんです。それがシャンです。音を閉め、開放し、合わせることによってうねりや流れを作るんです。
端的に言うと、解決までスパンの短い問題、解決までにいくつかのステップを必要とするもの、遠大で物語を通してでしか解決されないもの、という三種の配置されるバランスのことです。
ほとんどのプレイヤーは、物語内の遠大な問題が「いずれ解決される」ことを予想しています。そりゃラスボス倒せば大概ハッピーエンドなんです。裏を返せば、予想通りの結末に落ち着いた大団円だとしても、その程度のことなのです。
ここを創作者が勘違いしてその大団円を、唯一ゆえに最大の山場、としてしまうのは物語のメディア選択を見失った行為、悪く言えば怠慢じゃないかと思います。具体的に例えて言うならばゲームは十二時間ぶっ通し大河ドラマより30分全24回のドラマの方が向いてるという問題。