アフタースクールとインセプション

id:hurukawaさんの勧める映画にハズレがない。ということを再認識。
というわけで本日は二本。本当に面白かった映画なのでレビューをかねて紹介します。
まずは旧作。『アフタースクール』(内田けんじ監督)の紹介です。
これはご存知大泉洋主演というアレでナニしている方も多いとは思いますが、いわゆる、脳がぐんにゃりなってアドレナリンがドバッと出る瞬間を感じる映画であります。
昔、雑誌の裏表紙とかに広告が載ってて、勝手に「色々あったけれど最終的にはあの頃は良かったなあ、なんつって回顧するいい話」だと思っていたんですが、全然ぎっちょん、大裏切りです。
あらすじを言ってもギミックを言ってもネタバレになるので、もう、この、とにかくレンタルDVDショップにでも走って行って借りてきてください、としか言えないのですが、これは本当に面白い映画でした。内容も面白いのだけれど、構成というか、脚本というか、とにかく技巧という点で本当に拍手したくなる映画だったのです。
必ず二度、見たくなる映画です。脳をフル回転させて、騙されないように騙されないように、と疑いながら見るほど多分楽しいので、この煽り方は間違ってないと思います。DVDは副音声でコメンタリが収録されてますので、普通に二度見ることになると思います。

でもって次。
本日、またもや勧められたので走って観に行ってきました『インセプション』(クリストファー・ノーラン監督)。映画の日だけあって、めちゃくちゃ混んでましたがめげずに観てきました。
で、これ、すごい映画だったんじゃないでしょうか。
現在公開中の映画ですので、探せばおそらくいろんな情報が拾えるとは思いますが、設定だけかいつまんで説明すると、「実写版パプリカ」であります。
つまり夢の中にダイブする(もしくは人を自分の夢に引きずりこむ)装置が実現された世界でのSFでして、ディカプリオ演じるコブが人の夢に侵入して、偽の意思をインセプション(植え付け)ようとするというお話。
この装置が本当に面白いルールで運用されているんですが、そのあたりはお話の根幹に関わるので割愛。そのあたりの考察については公開終わったあたりでネタバレ恐れずにまた書きます。

それより何より、とりあえずはノーラン監督のコダワリに脱帽した映画でありました。コダワリ、というか、端的には、ビョーキと申し上げてもよいのかもしれません。
ストーリーと構成が面白かったのは勿論のことですが、特筆すべきは撮影!そう、撮影についてなのであります。
この監督はダークナイトの時にも、街中を走ってきたロングトレーラーが『運転席を基点にして体操でいうところの「前まわり」をキメる』というクレイジー極まりないシーンを現物で撮影したという前科があるのですが、今回についてもそういう真似をしでかしたそうなのであります。
具体的にはアリアドネとコブのまわりでカフェとかが爆発しまくるシーンや第一階層の夢で道路を列車が特攻してくるシーン、すでに有名になっているようですが無重力の廊下のシーンなど、そこはCGでいいだろというシーンのほとんどを実際に現物で撮影しているとのこと。
簡潔に言ってキチガイ(褒め言葉)だと思います。
もっともこのあたりのコダワリは、こう、映画の出来に関わるものじゃない、という意見の方もいらっしゃるとは思いますが、かつてのCG黎明期、どの映画を観ても特撮がモーフィング一色に染められてしまったあの頃、悔し涙で枕を濡らしたあの頃のワタクシが、こう、胸の奥から『こいつァ、特撮魂だぜ!」と叫ぶのであります。
ダークナイトのパンフレットでも「やれって言われて仕方なく実験してみたらうまく行っちゃって、やべえなあと思ってたら監督から本番も同じようにやれって言われて死にそうになった(心が)」というような泣き言を書いていた美術監督が、今回のパンフレットでも同じ話を書いていて、よっぽどトラウマなんだろうなあ、などと思いました。
これから見に行く方は、そのあたりのことを思い出しながら観ると、また血の沸き具合が変わるんじゃないでしょうか。
ちなみに、上記のような枝葉に興味のない方でもきちんと楽しめる映画だとは思います。ストーリーとかギミックに触れないのは、つまらなかったからではなく、こちらもやっぱりほとんどネタバレになってしまうからでありました。