リスペクトされたい人と、リスペクトされなきゃ死ぬ人

自分の感情を抑えられない人は幾人も見てきたが、今回こそはやべえ、とわたくしは戦慄した。
一人目は、酒を飲んで酔っ払い、芸術論を振り回して遊んでいるうちに激昂し、不意に拳で窓を割ったのであった。予兆一切なし。瞬間豪熱沸騰。高い炊飯釜か君は。

無論すぐに取り押さえられ、タクシーに叩き込まれて自宅に送還となったのだけど、おそろしいことにそれきり彼の姿を見ません。今頃くらい部屋で己を恥じているのか、それとも、涅槃へ旅立ったのか。

もう一人はまさしくリスペクトされなきゃ死ぬ人。先日「なぜ課長でなく僕を愛さないのか!」と血の出るような慟哭を見せたうちの社長ですが、またやらかしました。

20人規模の職場において、半年で4人をクビにするという荒技を見せた社長。
そんな職場に見切りをつけ、自ら去ろうとする人を引き留めて曰く。
「あなたも社長になってみれば分かる!そうせざるをえなかっただけなんだ!僕は努力したんだ!」

知らないよったら知らないよ。ぼくもうしーらない。
聞いてくださいと声を荒げないと聞いてくれない相手に話すべきことは既に無く、聞いてくださいと声を荒げないと聞いてもらえないこともまた、無為なんですよーだ。