『花の慶次〜雲のかなたに〜』(原作・隆慶一郎/画・原哲夫/集英社文庫)

本日はおやすみ。
ゆえ、ゴバギーンと自転車こいで近所の本屋めぐり。
買っちゃいました。大人買い。全巻一気買い。ああ、大人になってよかった。ホントによかった。なんていうの?買い物しておいて涙でそうになったよ。自分が中学高校のころ、こんな日が来ると思ったでしょうか。
ああ。
や、別に貧乏だったってわけじゃないんだけども、晴れた休日に自転車で趣味の買い物へ行くことが、こんなに幸福なものだとはつゆほどもしりませんでした。学生の頃、僕にとって本屋は言ってみれば「宝探し」の場所で、何か面白いものを、日々に足りないものを探しに行く場所だったのだけれど、大人になってみるとそこへは「足りないものを探す」ためだけではなくて、古い友達に会うような感覚でも行けるものなのですね。漫画文庫ばんざーい。
時代に乗せられてる?いいのいいの。嬉しいんだからいいの。歌でも歌いそうになったのことですよ。

ともあれ。
花の慶次って僕が学生真っ盛りの頃にジャンプで連載されていた漫画なんですが、いやあやっぱり今読んでみても、おもしろーい。
北斗の拳がブームとの事で、北斗も読み返してもいいなあ、などと思っていたのだけれど、よく考えてみると僕は北斗の世界云々よりも「原哲夫の絵」が読みたいようだということに気づいて、オマケに最近、ひょんなことから耳削ぎ願鬼坊のこととか思い出した縁というものを重視して、こちらを一気買いすることに決めた次第。

話としては、加賀百万石こと前田利家甥である前田慶次(慶次郎)の傾奇っぷりのお話。慶次についてさっぱり聞いたことないという方は、ぜひ本作を読んでくれるといいのですが、それだけの情報ではちょっとなあ、という方はこちらのサイトさんなんかを見ていただけると面白いやも。花の慶次を読んで萌えた方も、けっこう楽しめると思います。
とりあえず、すごく強くてすごく男前ですごくへそ曲がりですごく気持ちのよい主人公の話です。起こる事件とか事態とかそういうものについては細かくひとつひとつ話すのもアレなんですが、「肉体的な戦い」を描くのではなく、そこに至るまでの生き方、立ち向かい方を丁寧に書いた漫画だと思います。バトル漫画とは少しスタンスが違う感じ。
慶次の、まつとの不義を巡る奥村助右衛門との一幕「莫逆の友ゆえに」などは、語り継いでもいい名作だと思います。
実際僕も連載時にほてほて読んでいた筈なのですが、大人になって読み返すとまた違った面白さがあります。記憶にあるよりも慶次はナニをぼろんする確率が高いです。何かにつけて慶次ってばチンコ出してる。うわわわ。昔のジャンプは凄かったんだなあ。
て、そうじゃなくて。なんというか。
ま、ナニ云々はともあれ、読み返してみるもよし、未読の方は触れてみるもよし。これは本棚に置いておくべき本だと思われます。
面白いよー。
ちなみに、わたくしの父に「どーよ、読む?」とうっかり薦めたところ、前田慶次云々、前田利家云々の話をはじめられました。ひー、れ、歴史マニア…っ!