怪盗タナーは眠らない(ローレンス・ブロック/創元推理文庫)

帯のアオリは「インディ・ジョーンズ+ルパン3世+007」とあってごった煮風なのですが、内容は至ってスマートな一品。
冷静な主人公が一時の「ノリ」で金貨を探しに行くところから物語は始まるのですが、冒頭から投獄。そこでの冷静すぎる様子から投獄脱獄お手の物、百戦錬磨のプロフェッショナルを想像するのですが、意外や意外、それまでの彼の投獄経験はゼロ。それが判明した辺りからものすごく面白くなってきます。
ノリで行動しつつ語り口は冷静。そのアンヴィヴァレンツがなんともはや。
怪作ではありますがたいへん愉快な小説でありました。おもしろいよ。