マージナルオペレーション

5巻読了。 面白かったです。他人から評価される話を一人称で書くには、割と技量がいると思ってます。 どうしても人は、人から褒められることを語る時、自然にはできないのではないかと思います。鈍感と偽悪で乗り切った感はあるけれど、トリがヒトに戻る瞬間…

マージナルオペレーション2巻

あらまあ、と思うような面白さ。 一巻もそこそこ面白かったのだけど、舞台が日本になると不意に異界感が増しますね。 リーガルに手にはいるもので交戦しようとすると、やっぱそこに行き着くよなあという武器をチョイスするアラタさん萌え。 こういう小説を書…

最近の読書

先週から、急に紙媒体の活字が読みたくなって買ってます。 一冊目はハヤカワ文庫から「暗殺者グレイマン」。暗殺者の倫理的なものと仕事の整合性とかが読めるといいなーと思って読んだのだけど、中身は比較的カラッとした銃撃戦もの。主人公が徐々にズダボロ…

『球場ラヴァーズ』石田敦子/ヤングキングコミックス

良書、良書、良書。 とても面白い漫画です。 すでにヲベロン太の選ぶ今年のベスト漫画にすでにノミネートしました。(ちなみに2010年度の大賞は脳内審査委員長のゴリ押しで恋忍が受賞) さて。 あえて誤解されるように端折ると『球場ラヴァーズ』の粗筋は、い…

二巻読んだ。

なんだかんだで一巻より面白い気がします。 作者によって「裏表ある超絶技巧の美少女」という記号付けがなされてしまうと、そのキャラクターにはそれ以上の意味が見つけにくくなることが多いように思いますが、亜美ちゃんはわかりやすくていい子。 だけど欲…

とらドラ買った。

諸君は想像もしなかったでしょうが、マジでとらドラ買った。 一読しての感想は、「気恥ずかしいが面白い」の一言に尽きます。ツンデレスタンダードとはまた別の話なのではないかと思うんですが、実際面白かったです。 電車の中で読むのは少し恥ずかしかった…

くらやみの速さはどれくらい/ハヤカワ文庫

ハードカバーを見掛けて以来、気になっていた本が文庫化されたのを契機に買いました。つってもずいぶん前の話。 ともあれ。よい意味で、実にとらえどころのない作品です。語り口も題材も、訳文さえ静々としていますが、うねる物語は時折おそろしいほど激しく…

まとめ。

おっつかないおっつかない。 というわけでおいおいまとめるのでまさにwebログ的にここ数ヶ月で読んだ本の名前を羅列。順不同。「人類は衰退しました」田中ロミオ/ガガガ文庫 「勝手に生きろ」チャールズ・ブコウスキー/河出文庫 「死をポケットに入れて」…

暗いところで待ち合わせ(乙一・幻冬舎文庫)

後追い日記ではありますがこの日に読了。 柴三郎氏より「乙一ちょういいよ!」と勧められていたのをいまさらになって読了。 初乙一ですが確かに。丁寧でとても面白い本でした。オチ自体は割と早い段階でわかったのですが、それでも読ませるのは確かに面白い…

怪盗タナーは眠らない(ローレンス・ブロック/創元推理文庫)

帯のアオリは「インディ・ジョーンズ+ルパン3世+007」とあってごった煮風なのですが、内容は至ってスマートな一品。 冷静な主人公が一時の「ノリ」で金貨を探しに行くところから物語は始まるのですが、冒頭から投獄。そこでの冷静すぎる様子から投獄脱…

死せる魔女がゆく(上・下)(キム・ハリスン/ハヤカワ文庫)

ずっと気になっていたけれど見つけられなかった本をようやく発見して即読。 内容としては近未来SFです。吸血鬼だの人狼だのレプラコーンだのが市民権を得たアメリカが舞台。お約束のように人類と共存するためにある程度の法律だの保険だのが幅を利かせる世…

子産/宮城谷昌光/講談社文庫

水滸伝から派生してなんか読みたい読みたいよ中国の話が!と思っていたらば、昔勧められたことを思い出して入手。 初宮城谷作品でしたがともあれ。 登場人物の名前がハンパなく覚えづらいというすごいハードルがありましたがそれを越えると随分面白い本です…

赤鬼奉行根岸肥前(だいわ文庫・風野真知雄)

あまり期待せずに読んだ本ながら、割と面白かったです。根岸肥前というのは、怪著「耳袋」の編者であります実在の人。 耳袋と聞いてぴんと来ないとアレかもしれませんが、要は闊達な爺が大岡裁きをするSF(すこし・ふしぎ)の話。時代劇です。 話の端々に…

リヒトホーフェン・サーカス

剣と魔法の世界を舞台にしない現実世界ベースのファンタジーといったら、およそ現代劇ばかりですが、第一次世界大戦。 『ドラキュラ戦記』(キム・ニューマン/創元推理文庫)の話をします。話すのも書くのも、もう何度目だろ。ま、いいや。ともあれまた読み…

『ひとりぼっちのエルフ』(シルヴァーナ・デ・マーリ/荒瀬ゆみこ訳/早川書房/1800円)

というわけで随分まえに読了していたのだけれど、ネタバレにならない範囲で詳しく感想など。 世界は、エルフが弾圧され、東の果ての荒れ果てた土地、エルフ居住区へ追いやられている世界。雨がしとしと降り続き、エルフ居住区は今やぬかるみの底。生まれたば…

『ひとりぼっちのエルフ』(シルヴァーナ・デ・マーリ/荒瀬ゆみこ訳/早川書房/1800円)

あれれ。冒頭読む限りかなり良書なのにはてダでは全然言及されてない。おっかしいなあ。まあいいか。 というわけで、今日、どうしてもファンタジーが読みたくなって読みたくなって仕方なくて、でも世界の危機がどうのとか異能の力がどうのとかそういうのじゃ…

文学フリマレポートつづき。

読後感想文など。 『mouse』 古川さんのとこの新刊。『学生さんの話(暗い)・香子の話(暗い)・学生さんの話(根は暗い)』という自作への評価を目にしていたのでそのような心持で読みましたが、どれも言うほど暗くはないんではないかというのが素直…

『逃亡作法』

(東山彰良/宝島社文庫) いやあ、というわけで、ずいぶん前に読んでいたのだけれどもなかなか機会がなくて書けなかった書評。 端的に言うと、非常に面白かったです。 このミス大賞&読者賞ダブル受賞、という触れ込みにだまされるつもりで買ったんですが、…

転がる猫に苔は生えない

(ブルース・E・カプラン/鈴木彩織訳/ソニーマガジンズ) いやあ、先日吉祥寺に遊びに行った折になんだかで本屋に立ち寄って、高野文子の黄色い本の元になった黄色い本(『チボー家のジャック』)が出ましたかそうですかふうん、などと言いつつ、立ち読みし…

『夜の蝉』

(北村薫/創元推理文庫)先日の『冬のオペラ』に続いて読んでみました。 以前北村薫についてA女史が「割と好きなんだけど、女子が普通の場面でいきなりボクとか言い出すのはいかがかと思う」などと言っていたのですが、なるほど、ボク娘発見。宝塚娘発見。…

『マリーを守りながら』

(ケヴィン・フィンクス/多賀京子訳/徳間書店)アメリカ人を見直しました。 表意文字じゃなくて表音文字を使ってるような連中に心の機微とかわかるわけないんじゃないの、とか思ってたんですが、この本、いいです。 けっこうぐいぐい来ました。内容は、画家…

『カモメに飛ぶことを教えた猫』

(ルイス・セプルベダ/河野万里子訳/白水社)猫のゾルバとカモメのフォルトゥナータの物語。僕実は動物モノって大好きなんですけど、擬人化しつつ「人間より動物の方が素敵だ」「人間も初心に返って動物たちを見習わなくては」というようなメッセージをちょ…

『冬のオペラ』

(北村薫/中公文庫)以前、僕の書くものについて「北村薫的」という評価を頂きまして、あまり本を読まない身としても己に比べられたとあっては北村薫という名前を放っておくわけには参りませんで、一体どんな作家さんなんだろうという興味から読んでみたもの…

『火事を知らせる猫、贈り物をする犬』

(クリスティン・フォン・クライスラー/安原和見訳/光文社)これは、なんちゅーか、いわゆる「動物の美談」というやつを片っ端から集めまくった本です。己の命を顧みず主人を守って熊に立ち向かった犬とか、火の中に飛び込んで幼児を救った犬とか、まあ、圧…