文学フリマレポートつづき。

読後感想文など。

    • 『mouse』
      • 古川さんのとこの新刊。『学生さんの話(暗い)・香子の話(暗い)・学生さんの話(根は暗い)』という自作への評価を目にしていたのでそのような心持で読みましたが、どれも言うほど暗くはないんではないかというのが素直な感想でありました。暗いというよりは落ち着いているというか。どれかというと三つ目の話が面白かったように思います。ひまわりの影のくだりなどは白眉ではないかと思います。ファンタジーだ。この人はやはりファンタジーうまいなあ。ただ僕は学園ものというものにリアリティというか「現実っぽさ」というものを求めていないのでそう思うのかもしれませんが、脇役である級友とのいかにもなやりとりなどは全体のトーンからすると少々浮き上がっていたように思います。でもファンタジーとしてのディテールは秀逸。
    • 『クマリネvol.2』
      • サークル紹介の時から期待していたクマリネさんのとこの新刊。サークルにお伺いして、思わずはしゃいでお話などさせていただいたのですが、ちゃんとした漫画の人だなあ、というのが読んでの感想でありました。ちらっと黒田硫黄が好きだとかなんとか、そんなことをお話したのですが、やはり同好の士かもしれません。短い漫画でしたが登場人物がみんなちがう人で、そこがとても面白かったのです。物語の本筋と関係ない言動、ディテール、そんなものがまったく文学でありました。思うに文学って、てんでバラバラの方向を向いた人を、そのまままるごと見ることじゃないかしらん。そんなことを思いました。あと絵がなによりすてきです。
    • 『海 レジャーランド フェリー』
      • 猫田宗次郎さんのとこの本。経文折のジャバラ本。装いが素敵過ぎる。素敵すぎて中身を読むのを忘れていたくらい。それほど素敵。内容はまさしく夢。ゆめの話だと思います。三題の掌編というか散文詩のようなものが載っていますが、どれも夢っぽさがすごいです。それも悪夢の類。いや、違うかな。悪夢でないとしても、目が覚めるとしっとり体が湿っているような類の夢。さてはこの装丁はオサレ狙いではなく、葬式風なのかしらん。ちなみにちっちゃい本の割に値がはりましたが作者の方曰く「元とれてません」とのこと。たしかに。確かになあ、と思ったので応援の意味を込めて買わせていただきました。

とりあえずこんなところかしらん。