大江山

世で話題にならないけれども良書。
というわけでちょうど完結したての漫画、「大江山流護身術道場」(全二巻)をご紹介。

話としては異常なトラブル体質の女子高生が護身術やるという、そのまんまの話なんですが、作家性が非常に強いので際立った作品になってます。
平井和正などの系列を考えてもらえばイメージしやすいかもしれませんが、作者の思想、考え方が色濃く作品世界に反映されている感じ。もう、物凄く作者の影がこゆいです。登場人物たちはまさしく作者の分身であったり、理想であったり、逆理想であったり、とにかく寓話的で象徴的な、ある種のシンボルとしての人物が多くなっています。

前述のように、キャラクターそれぞれの魅力というよりは、この話を通して知ってもらいたい事、伝えたい事というのがホントにハッキリしてるように感じられるので、「物語がメッセージを伝えるための道具」になってしまいそうな点は好みが別れそうです。
だから、多分、合わない人は合わないと思うし、合う人は作者ごと好きになっちゃう感じじゃないでしょうか。

もっとも、僕はどちらかというと、物語に作者の影を落とさず、読了しても余韻しか残らないような物語こそ是として行動しているのですが、これはこれで、清々しくてよかったです。これだけメッセージ性を全面に出す漫画って、商業誌ではなかなかみないです。
最近のでいうと、「鈴木先生」くらいメッセージ性が強い感じ。

で、ほうほうと思ったのが「武術」と「武道」の違いについて。
これは、本当に今の僕の悩みと合致していて、劇中のおとめお嬢と同じようにジタバタしておりました。仕事に対するスタンスのことなんだけど。

ここで引用したいけれど、物語のキモになるところでもるので控えておきます。とても面白いので皆様買って読むといいです。