コミケ関連。感想。

このところ、したいこととすべきことがごっちゃになって、どっちを優先させるのもアレだなあとかなんとか考えて悩んでいるうちにどちらも腐ってしまうようなことがあったりなかったりするので、ええと、前置きはいいや。
コミケで読んだもの。とりあえず感想。冒頭は敬称略。

『稲唄』(あきうせい・
//prankt.hp.infoseek.co.jp/">IR研究所・漫画):こちらはあきうせいさんのところの新刊漫画。以前よりぽつぽつとおしゃべりなどさせていただいた折、なんかもう吹っ切れて好きなものを書くことにしたと聞いておりますれば、それが悪いほうに転がっていないことを祈りつつ読む漫画にてあります。前回よりキャラクターが増え、話が動き出すような動き出さないような、そんなお話でしたが美しいのはやはり稲魂の場面でしょうか。描きたいものが美しく見えるというのは良いことのように思います。ひとつだけ惜しいものがあるとすれば、『私はそんなに古くはないもの』の台詞でした。彼女はそういうことをあからさまにする子ではないような気がしていたので、かすかにひっかかりました。彼女は、人間に溶け込む気もないけれど、あちら側であることを誇示するわけでもない、つまり、どういうつもりか良く判らない、という立ち位置が魅力のように思います。ので、もっと自分の正体に関するアピールは遠まわしでもよかったような。そんな気がします。あと、夏でも長袖の鬼王さんは絶対刺青があると思います。
『落日のあと/草笛』、『今日の奥さん2』(かんきち・
//homepage3.nifty.com/chikican/">チキ缶・漫画):こちらは雰囲気の違う二冊を同時レビュー。まずは田舎の女の子の漫画。『落日のあと/草笛』から。まさしく郷愁という言葉が似合うように思います。暖かい色をしているけれども、うすがなしい、まさに夕方のような漫画でした。あとがきに、都会の人にとってはちょっとアレ、と書かれていたのですが、むしろ僕が感じたのは逆でした。一週間だけ居た子を、なんとなく心にひっかけてしまう心持は多分、都会にはないもので、ラストシーンのチヨちゃんの独白などを読むとむしろ、『お前らなんか足元にも及ばないほど幸せになってやる…!』と言っておいて手紙を送るという側のほうが、なんというか、深読みするとアレのような気がします。でも大概そういうのって、怒鳴ったほうはすぐ忘れてしまうのよね。という気もします。で、もう一つの『今日の奥さん2』については、本当に肩の力の抜けたよい4コマ。特に、かなりの頻度で登場する「間」のコマは本当に良いと思います。まさに行間。見習いたい。
『そうした日々』(古川・
//skipjack.oops.jp/">SKIPJACK・小説):こちらは変わって小説。掌編三つの連作になっているつくりです。僕は今、小説という構造自体に懐疑的な感じのため、もしかしたらそれほど素直な読み方が出来なかったのかもしれませんが、たいへん面白く読みました。いつも思うのですが、この人の書くものはどこか、私小説的なものがあるような気がします。私小説でよかったんでしたっけ、アレ。とにかく、「自分の暮らし」を書いている感じです。これは貧乏の極みのような女性を描いた小説で、作者の古川さんが実際にこの生活をしているかどうかは別としますが、やはり、血肉の通ったような感じを受けました。僕も貧乏貧乏といいながら、まだまだです。貧乏を貧乏として描くことができねえでいます。以前、日本文学というのは、「舞台」というものを、登場人物がそこから抜け出せなくなるくらい濃密に設定してやるものなのだということを聞いた気がします。因習根深い山奥の山村とか。網元がすべての頂点に立っている漁村とか。そういう感じの。…つって話題それましたが、生きる力の希薄さと、逆に濃密さと、そんなものをこの短い中に凝縮したのは見事だと思います。僕はこれ、すごく面白く読みました。
『カッコーホーニョ』『ビバキューン』(冒険野郎のトムソーヤ・
//tomsawyer.main.jp/">冒険野郎のトムソーヤ・漫画):こちらは以前より羨ましくて仕方ない創作のユニット、トムソーヤさんの新刊と新刊の一個前。まずはカッコーホーニョ。特筆すべきは山。山ゴルフ。以前お会いした折、山漫画はいいですよう、イカロスいいですよう、と盛んにおっしゃっておられたのはこれの前フリかッ!と、図らずも目から光を出してしまいそうになりました。好きなものを描くというのはとてもいいことだと思います。マイブームが吹き荒れていれば山漫画とゴルフ漫画が混ざっていても気にしないッ。…という理論で言うと、以前のやおい相撲漫画は、やおいと相撲が好きだった時に書いたのかしら、と一抹の不安が残りますが兎も角。『ビバキューン』については、楓おねえちゃんがぬいぐるみに「上から目線」で(立ち位置的には見上げてるけど)ビンタ食らう、という場面が白眉だと思いました。僕の名誉のために申し上げますとビンタ萌えでは断じてありません。そして、今回ビバキューンを読んで一番バキューンと来たのは冒険通信でした。この企画、僕は毎回楽しみに楽しみにしているのです。羨ましい。こういう無茶な企画を出来るのは、本当によいお仲間で同人誌を作られているからだなあ、というのが心の底から伝わってきました。地力があるからオマケが生きる、という見本のようなオマケです。その上美乳なので二倍羨ましかったです。
『ナノハノスキマ』(多津丘〆葉・
//www.venus.dti.ne.jp/~taduoka/">銀天盤・漫画と小説):なんかいつにもまして渡したがらなかったのは、エロだったからか…!

とりあえず、もっと沢山描きたいことはあるのですが本日はここまで。